https://www.optronics.co.jp/ex-seminar/projects/semi/2/5
講演概要:昨年11月にドイツで開催されたVISION 2016において、照明技術が、カメラ、センサー、光学機器、画像処理システム等の先進的な画像関連技術の中で、VISION AWARDの第1位を受賞した。1996年に始まり、昨年で第22回を迎える同賞の歴史の中で、照明技術が選ばれたのは最初のことで、日本企業としてこのVISION AWARDを受賞するのも初めてのこととなった。これまで、画像関連技術の中でも既成の技術と捉えられていた照明技術に、一躍スポットライトが当てられた背景には、どんな理由があるのだろうか。それは、人工知能的手法が脚光を浴びるなかで、画像処理システムの性能を飛躍的に高めることのできる新しい照明技術として、そのアプローチが高く評価されたからである。照射光の様態に終始する従来の照明技術に対して、機械の視覚機能としての新しい照明技術であるマシンビジョンライティング(Machine Vision Lighting)は、専ら物体光の制御に着目する。物体から返される物体光のエネルギー供給源は、その物体を照射している光エネルギーにあるが、この照射光と物体との相互作用、すなわちその物体の光物性の変化に着目し、その変化を高S/Nで抽出するための最適化設計過程こそが、機械に視覚を与える、事実上の光となっている。本講演では、この視覚機能としての照明技術の基礎となる考え方とその方法論、最適化設計へのアプローチを分かりやすく解説し、今、話題のVISA(Variable Irradiation Solid Angle)照明を例にとって、その本質を明らかにする。